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吉 備 楽kibigaku

黒住教「吉備楽」について

 吉備楽は明治5年(1872)に、旧岡山藩の伶人 岸本芳秀(きしもと よしひで)が創りました。 
 江戸時代、岡山藩池田家では雅楽に重きをおいていたために立派な楽人が多数輩出していました。 明治3年(1870)に、その楽人の中から岸本芳秀、久山義雄(くやま よしお)、見垣正香(みがき まさか)、御船寧気(みふね やすおき)らが藩主の命により、大和の春日神社へ倭舞(やまとまい)、東遊(あずまあそび)の伝習に行き、このことが吉備楽創始のきっかけとなりました。 それは岸本芳秀が、大和の国に倭舞があるように、吉備の国にもこの地にふさわしいものが欲しいと願って創始しました。 最初に作られたのが、「四季の気色」の「春」という曲です。 そのあと、「夏」「秋」「冬」の曲ができました。
 明治11年(1878)に東京の青山御所において、孝明天皇お妃の英照皇太后陛下および明治天皇の皇后陛下の御前において、御前演奏の栄に浴しました。 その頃から「吉備楽」と呼ばれるようになりました。 この御前演奏について尽力下さったのが当時の岡山県令(今の知事)高崎五六(ごろく)氏であり、それがご縁となって高崎正風(まさかぜ)(明治21年から御歌所長)が吉備楽のために作歌してくださるようになりました。 そのほか三條実美(黒住教に入門している)、 岩倉具視(いわくら ともみ)、福羽美静(ふくば びせい)、落合直文(おちあい なおふみ)、美甘正和(みかも まさとも)などの諸名家の作歌をも頂戴する光栄を得ました。

 岸本芳秀は明治23年(1890)に逝去しましたが、それ以後は直弟子 小野元範(おの もとのり)がその芸風を継ぎ、今日伝承されている雅楽と優雅な舞から生まれながらも、いわばそれらに吉備の国の土の“におい”を加味した独特の音楽「吉備楽」を完成させました。 明治16年(1883)、大元・宗忠神社の上棟祭より祭典楽が新たに加わり、小野元範が初代楽長に就任しました。

 昭和42年(1967)、ご来岡の昭和天皇皇后両陛下に後楽園能舞台において御前演奏の栄に浴し、昭和55年(1980)、ニュージーランド・クライストチャーチ大聖堂、平成5年(1993)イタリア・ローマ国立近代美術館、平成10年(1998)アメリカ・ハーバード大学において、ハーバード大学ライシャワー日本研究所の招きで、大学内ローウェルホールで同研究所とボストン日本協会の共催で「吉備楽演奏会」を開催、平成18年(2006)、インド・マハラシュト「プーネ・岡山友好公園」が完成、その開園記念式典において吉備楽を演奏。 平成24年(2012)、オーストラリア・ニューサウスウェルズ州・カウラ市のカウラ日本庭園での「サクラまつり」で吉備楽演奏会を開催し、また同市内にあるカウラ日本人墓地で宗忠神社 黒住忠親宮司斎主による慰霊祭に祭典奉仕をしました。

吉備楽の種類

 大正9年(1920)、田辺尚雄(たなべ ひさお)先生(東大教授・初代東洋音楽学会会長)の教示を得て、小野元範との共著『吉備楽乃志本里(きびがくのしおり)』の中で吉備楽を大別して家庭楽、余興楽、祭典楽の3種類に分類することができると発表しました。

1.家庭楽・・・家庭の趣味、団欒として演奏され、特に京都の都をどりの創始者で京舞の家元、3世井上八千代は明治11年(1878)に家庭楽の名曲「高砂」、「春雨」などの舞の振り付けをしました。

2.余興楽・・・歴史物ともいわれ、歴史的な物語(太平記)を振り付けたもので演奏されます。

3.祭典楽・・・黒住教本部大教殿や全国の教会所また大元・宗忠神社、神楽岡・宗忠神社 そして岡山県下の多くの神社、そして県外では島根県・熊野大社や長野県・戸隠神社などで演奏されています。

吉備楽の楽器

 打楽器として太鼓・鉦鼓、弦楽器として箏、管楽器としては笙・篳篥・横笛です。
 演奏は箏を主奏楽器とし、打楽器(太鼓・鉦鼓)や管楽器(笙・篳篥・横笛)は付物(つけもの)として演奏します。

吉備楽十六日会 大阪支会

 「祭典に際しての奏楽のご奉仕や舞楽の奉納をお道づれの手で・・・」という婦人会幹部の人たちの念願から、昭和40年8月、当時婦人会支会長であった堤フジ女史の肝いりによって、大元より奏楽寮楽長の小野盛次先生を迎え、数日間に亘る熱心な吉備楽講習会が開かれ箏や舞を習い、上記の通りにその後は教会所における月次祭の奏楽奉仕が続けられています。 現在のところ奉仕者の規定はこだわることなく、吉備楽並びに吉備舞や演奏される楽器に興味を持たれる方々にその門は開かれています。 定期的に祭典楽の練習を行っていますので、関心がおありの方はお気軽に当教会所までお問い合わせ下さい。

本部講習会と定期演奏会

 毎年7月には、大元・宗忠神社内の黒住教奏楽寮「吉備楽道場」において「鼓」・「箏」・「笙」・「篳篥」・「横笛」・「舞」と楽器別に分けて吉備楽講習会が例年開催されています。 特に主奏楽器である「箏」に関しては初級、中級、上級の3クラスに分け、習熟度に応じた稽古が丁寧につけられています。 また、吉備楽は教会所における祭典での奏楽奉仕だけではなく8月には大元・宗忠神社「武道館」において全国の各支会による「吉備楽定期演奏会」が開催されています。   

黒住教大阪大教会所

〒543-0062
大阪市天王寺区逢阪1-3-14

TEL 06-6771-8191