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道端感謝 ~祈りの作法~

正しい作法でお祈りいたしましょう!

 続いて、その御自宅に奉斎した御神前・御霊前での“祈りの作法”について紹介してきます。 その際に手元にあった方が良いのが・・『扇子』です。

 この扇子が、神職が神事の際に用いる笏(しゃく)の代わりになるわけです。 ですから、日頃より扇子を用いてお祈りいただく方が、神様や霊様に対してより丁寧な作法になりますので、できるだけおぼえるように努力してみて下さい。
 また、こうした『扇子』は黒住教本部や教会所にも通常は皆様のために用意してありますので、よろしければお求め下さい。

扇子の扱い方

 これより、扇子の“基本の作法”を説明いたします。

 まずは、扇子の基本的な扱い方をしてみましょう。
 大切なことですので是非覚えてみて下さい。

 まずは、背筋を伸ばして正座をし(正座が出来ない方は椅子に浅くかけて背筋を伸ばして下さい)、下のイラストを参考にして扇子を膝の上で、左手の甲を膝に着けて持ってみて下さい。
 


 決して扇子をブラブラさせたりしないで下さい。
 この時もそうですが、御神前・御霊前に座するときは心身ともに威儀を正して下さい。 
 そして、下のイラストのように左手の親指をずらして扇子の真ん中辺りに入れて、その親指で少し押さえます。



 次に右手の親指を使って扇子を前に押し出すようにして一間開きます。





次に一間開けたのを元にもどします。
右手の人差し指と親指を使ってゆっくりと元にもどして下さい。



 この時、重要なことは“余計な音をたてない”ということです。 乱雑にもどすと、左手の親指やその爪に当たって、大きな音がなってしまいますのでご注意ください。
 そして、最初の持ち方にもどします。



 これが、基本の作法です。
 この“一間開ける所作”は基本的に、“自分が声を出す時(禊祓詞・大祓詞をあげる時、ご開運の祈りの時など)や玉串奉奠の時”にして下さい。

扇子を使った神拝作法

 次に、黒住教の教祖である黒住宗忠神(1780-1850)が“常の祓い”に日々唱えられ、現代においても本教を信仰されている皆様をはじめ神道に縁深い方々に親しまれている「大祓詞(おおはらえのことば)」の際における作法を説明していきます。
 まずは、先ほどのように姿勢を正し扇子を用いて、【図1】~【図3】までの所作を行ってください。
 そして、扇子を下の【図4】のように持ち替えて、扇子の表面を御神前・御霊前に向けて腹部の正面に構えて下さい。 この時、腹部と扇子との間隔はおよそ5・6cmで扇尾をお臍(へそ)の高さにします。

 右手は親指と小指で支え、左手は親指をその真ん中に置き右手を包むようにして扇子を持ちます。

 

 この所作を「正扇(しょうせん)」といいます。
 次に、上体を屈して45度の角度にして下さい。

 それから半呼吸で起き上がり元の位置にもどして下さい。
 この所作を「深揖(しんゆう)」といいます。
 次に、扇子の扇頭を目通りの高さにゆっくりと上げていき、肘を真横にします。

 そして、そのまま上体を前に屈して、扇子と背中が水平になるようにします。
この時、顎を十分に引いて、伏する角度は90度です。

 この所作を「拝(はい)」といいます。
 それから、一呼吸して体を起こして扇子を腹部の正面にして「正扇【図5】)」の状態にもどします。
 次に、腹部正面に構えた扇子の表面を上にして右膝斜め前に置きます。 

 

 この所作を「置扇(ちせん)」といいます。
 そして、左右の手をそれぞれの腿の付け根の上に置き正座の状態にします。
 続いて、指先を斜め上方に向けて、目の高さに手を合わせ、手の指先の線をあわせます。

 次に、一関節ほど右手を少し引いて、両手を肩の幅ほど開いて二度打ちます。
 この所作を「二拍手(にはくしゅ)」といいます。
 そして、また手を腿の付け根の上に置いて正座の状態にしてから、右膝斜め前に「置扇(ちせん)」している扇子を取ります。 これを「把扇(はせん)【図8】」といいます。
 さらに「正扇【図5】」に構えてから、その後、状態を屈しながら手の甲を床に着き、上体の角度を60度にします。

  

 この所作を「深い平伏(へいふく)」といいます。
 次に両手を下に着けたまま、その手の甲を床に押し出すようにしながら上体の角度を30度に上げます。
 この状態を「浅い平伏(へいふく)」といいます。

 そして、この状態で下腹に力を入れて「禊祓詞(みそぎはらえのことば)」を唱えながら起き上り「正扇」の構えに戻り、お祓い(禊祓詞・大祓詞)をあげていきます。

 この時、最初の「タカマノハラニカムヅマリマス」までは、「浅い平伏(上体の角度は30度)のまま唱えて、「カムロギカムロミノ・・・」から上体を起こしていきます。
 続けてこのまま扇子を立てた「正扇」の状態で唱えていき、最後の「ハラエタマエキヨメタマエトマオス」の時にゆっくり「深い平伏」(上体の角度は60度)になります。

 この次に続けて「大祓詞」を上げる時には、先ほどと同様に「タカマノハラニカムズマリマス」までは「浅い平伏」のままで「スメラガムツ・・・」から上体を起こしていき、最後の「ハラエタマエキヨメタマエトマオス」の時に「深い平伏」になります。

 それから「浅い平伏」まで上体をもどして「トオカミエミタメ」を唱え、次の「ハラエタマエ」から起き上って、禊祓詞の時は3回ほど、大祓詞の時には5回ほど唱えて、最後の「ハラエタマエキヨメタマエ」を唱える時に扇子を膝から離してゆっくりと「深い平伏」となります。

 そして、「正扇【図5】」の状態に戻して、「置扇【図8】」~「二拍手」~「把扇【図8】」~「拝【図7】」~「深揖【図6】」をして、扇子を【図3】【図2】【図1】に戻して終了です。

 この作法(深揖~一拝~二拍手~禊祓詞(または大祓詞)の奉唱~二拍手~一拝~深揖)のことを「両段拝(りょうだんはい)」といいます。 これがご家庭のおつとめをしていただくときの基本的な作法となりますので、まずは覚えて下さい。
 
 また、黒住教の大教殿や教会所にお参りの際には、お供えなどがあれば在勤の先生に御神前・御霊前に上げていただき、心身の威儀を正して、この作法(深揖~一拝~二拍手~禊祓詞(または大祓詞)の奉唱~二拍手~一拝~深揖)で神様とご先祖様にご挨拶をして下さい。

 【補足】
 現在、黒住教本部発行の“お祓い(禊祓詞・大祓詞)”が掲載されている代表的なものは以下のとおりです。

【上段】「いのりのことば(黄色:通常用、白色:年祭用、鈍色:葬儀用)」
【下段】「道のしおり」(左)、「CD 日々の祈り」(右)

 尚、この項は「道端感謝」と題して紹介しました。 このタイトルは副教主様が著された小冊子(頒価100円)からいただきました。 祈りの作法もその時々に自分で意識しチェックしていかなければ上達もなく、慣れてくるとクセが出てきてしまうのと同様に、心も日々自身でチェックしていかないと“有り難い”と思ったこともすぐに“あたりまえ”になってしまい不平や不満が出てきます。 この小冊子では、教祖神の御教えに基づいたチェックリストがありますので、まだお読みになられていない方は、日々祈りの作法とともに心のチェックをしてみて下さい。 きっと人生を豊かに過ごせる“気づき”を得られると思いますよ。  

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黒住教大阪大教会所

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